七十二候 第十七候
霜やみて苗出ずる
(しもやみて なえいずる)
新暦4月25日~29日頃
霜が降りなくなり、苗が育つころ。

種籾が芽吹き、すくすくと、あおあおと伸びていきます。
お米は稲の実のこと。その実を籾といいます。
籾の殻をとったものが玄米です。
その玄米からさらに米ぬかの部分をとったのが、白米。
稲は日本人の「命の源」。
 稲の原産はインド。揚子江下流から東シナ海を渡り日本へ。
日本は縄文時代でした。

 キュウリやトマト、ナスなどの夏野菜の植えつけもこのころです。
 霜は、苗を一晩で枯らしてしまいます。植え付けは慎重になります。


苗代や鞍馬の桜ちりにけり
 蕪村
苗代や小蛇のわたる夕日かげ
 大江丸
苗代や親子して見る宵の雨
 一茶
苗代や抜くたび白む農の脚
 石川桂郎
苗代や濁りて川は早瀬なす
 森澄雄
苗代
画像はお借りしたものです。

 俳句
苗代や家は若葉に包まれて
 原石鼎
苗床やおなじ二葉の茄子胡瓜
 斎藤雨意
苗代や日と月とある越の空
 大峯あきら

苗代の雨緑なり三坪ほど
 正岡子規
苗代の水のつづきや鳰の海
 松瀬青々
苗代の月夜ははんの木にけむる
 長谷川素逝
苗代の水よくみれば流れゐる
 野村登志郎
苗代の密なる緑いつまでぞ
 西東三鬼

苗代に落ち一塊の畦の土
 高野素十
豊かなる苗代の水の門辺かな
 松本たかし
雪嶺の覗く苗代かぐろしや
 石田波郷

    


二十四節気を各々3等分し、一年を72等分したものを七十二候をいいます。
七十二候では、それぞれに気象や動物の短文で表されています。
中国から伝わったもので、二十四節気の名称は古代からほぼ変わっていません。
でも、七十二候は日本の気候に合うように何度も変更されています。