田んぼの生物
七十二候 第十九候
蛙始めて鳴く
(かえるはじめて なく)
新暦5月6日~10日頃
蛙が賑やかに鳴きはじめる頃。

 雌を呼ぶ雄の声。
集まってにぎやかに鳴き立てるさまを「蛙合戦」というとかです。
 雨蛙は黄緑、緑など周囲の環境によって色が変わる。

蛙、ずいぶん見ていません。
以前住んでいるところは、土の路地の奥でね。
雨の日に通ると、蛙がピョンと跳ねたんです。

『大家さんと僕』に似た場面があって、驚いたし、嬉しかった。


古池や蛙飛び込む水の音
 芭蕉

やせ蛙負けるな一茶こ是にあり
 一茶
蛙の目超えて漣又さざなみ
 川端茅舎
蛙聞く夕栄の顔持ち歩き
 大野林火
夕蛙いもうと兄を門に呼ぶ
 安住敦
昼蛙どの畦のどこ曲らうか
 石川桂郎

田蛙の鼻先つまる伊賀の国
 森澄雄
青蛙おのれもペンキ塗りたてか
 芥川龍之介

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池にオタマジャクシがたくさん!
これが全部カエルになったらどうなるの!
この池に鷺(さぎ)が来るのは、これが目的なんです。

熱の子に早鐘打って遠蛙
 飯田龍太
昼の酒濁世の蛙聞きながら
 飴山實
擁くや夜蛙の咽喉うちひびき
 石田波郷
いんげんの蔓が出そめて初蛙
 加藤楸邨
人の恋きき手にまさる遠蛙
 鈴木真佐女

みどり児と蛙なく田を夕眺め
 中村汀女
雨戸立てて遠くなりたる蛙かな
 高浜虚子
夜の雲にひびきて小田の蛙かな
 飯田蛇笏
二の膳にゴマ豆腐あり夕蛙
 舘岡沙緻


「天は地を蓋ひ、そして、地には偶々池がある。
その池で今夜一と夜さ蛙は鳴く…
あれは、何を鳴いているのであらう?」
 蛙声 中原中也

数年前、庭園の池で鷺につかまった蛙を見ました。




二十四節気を各々3等分し、一年を72等分したものを七十二候をいいます。
七十二候では、それぞれに気象や動物の短文で表されています。
中国から伝わったもので、二十四節気の名称は古代からほぼ変わっていません。
でも、七十二候は日本の気候に合うように何度も変更されています。